地域を盛り上げ、選手を上位リーグへ輩出したい。新球団代表の挑戦に迫る!【旭川BeːStars代表・藤原尚也】
柳原 佑芽

皆さんこんにちは!

今回から北海道ベースボールリーグ(HBL)に所属する旭川BeːStarsのインタビュー連載が始まります!記念すべき初回は球団代表・藤原尚也氏にお話を伺いました。

藤原氏はデジタルマーケティングコンサルタント事業の『アクティブ合同会社』を2016年に設立し、CEOを務めています。また、サイト改善及びUXやUI提案の『株式会社 UNCOVER TRUTH』のCCO (Chief Content Officer)にも就任し、各企業にデジタルマーケティング導入支援、マーケティング人材育成を行っています。

そんな藤原氏がどのようなきっかけで旭川BeːStarsに出会い、チームの発展に向けてどのような取り組みを行っているか詳しくお伝えします。今シーズンの注目選手についてもお聞きしましたので、最後までお見逃しなく!

代表への就任と向き合うべき課題

2024年11月、ビースターズ合同会社を設立された経緯を教えてください。

チーム自体は2022年に設立し、2023シーズンから活動を開始していますが、当初はNPO法人がチーム運営をしていました。その後、2024年11月にビースターズ合同会社を設立し、球団代表に就任したというのがこれまでの経緯です。

きっかけは僕の息子の藤原拓斗が、昨シーズン旭川BeːStarsに選手として在籍していたので、父親として旭川へ試合を観戦しに行ったことです。チームの雰囲気や、地域に密着した運営をされているところに魅力を感じました。

そのような中で、潰れるとまでは言わないけれど、チームの運営体制が厳しいという相談を受け、僕自身がこれまでマーケティングやコンサルティングに携わってきた経験を活かし、チームの基盤を作り、そして地域密着型のプロ野球球団として再出発するために代表に就任しました。

旭川へ行ったのもこの時が初めてでしたが、大雪山をはじめとする綺麗な自然や景色に魅了されました。ラーメンジンギスカンお酒も美味しいし、空港から市内までの交通の便もとても良いです。人口も多く、札幌に次ぐ北海道第二の都市でもあるので、仕事をする上でもいい街だなと思っています。

魅力的なことが多い一方、チーム運営について、どのような部分に課題があると感じられましたか?


地域に根付いたプロ野球球団として地域とどのように共存するか、そして地域の課題にどのように向き合っていくかなど、地域とのパイプづくりにまだまだ課題が残っているなという印象でした。

また、チーム運営としてはチームの半数が外国人選手で、その選手たちをどのように育成して上位リーグなどの次のステージに輩出するか。そのための環境がまだまだ整っていないなと思っていました。

率直な疑問なのですが、なぜ旭川BeːStarsには多くの外国人選手が在籍しているのですか?

旭川市には「スタルヒン球場」があり、球場の名前の由来になっているスタルヒン氏は、東京巨人軍(現・読売ジャイアンツ)に在籍し、圧倒的な成績を残した大投手です。

彼が小学生の頃から旭川市で生活し、国籍にとらわれず活躍した歴史から、旭川BeːStarsでも多様性を受け入れるチームづくりを掲げています。

また、日本国内の野球人口が減っている現状を受けて、北海道の独立リーグからNPBのプロ選手を輩出することは難しくなっていると感じます。甲子園に出場した選手や、大学野球のエリート選手が旭川に来てくれるなら話は別ですが、そういった子たちはもちろんドラフト指名を受けるか、強豪社会人チームやプロ選手を多数輩出している独立リーグチームへ進みます。

このように、日本人で能力が高い選手がなかなか来ない中で、野球のレベルを向上させ、上のリーグへ進む選手を輩出するためには外国人選手の獲得が重要な戦略になると思っています。ただ、アメリカなどの野球振興国からの選手獲得は難しいため、現在はウガンダアジア圏などから将来有望な選手たちを受け入れています。

日本の野球を知って学んで、NPBにチャレンジするもよし、台湾や韓国のプロ野球にチャレンジするもよし、そしてMLBの舞台を目指すもよし。「旭川から世界へ」のスローガンは、外国人選手が夢を叶えるための道のりを示したものでもあります。

旭川BeːStarsの土肥翔治監督と田中勝久コーチ兼アドバイザーは、JICA海外協力隊の一員としてウガンダで野球をした経験があります。この経験で出会った選手を日本へ招き、野球を教えていたことをきっかけに、「旭川BeːStarsというチームが外国人選手を受け入れてくれるらしいぞ」と海外でも多くの人に知ってもらうことができました。

我々もXなどで発信を続け、ホームページ上でも窓口を設けていることから、今年は初めてベリーズからも選手が入団してくれました。動画を送ってもらう「デジタルトライアウト」方式で選手獲得やスカウトを随時行っています。

選手育成環境の充実に向けて

最新機器を使用して選手のバッティング・ピッチングの分析を行っているとのことですが、選手からの反応はいかがですか?

球速を測定できる「Rapsodo」やバットのスイングスピードなどを解析できる「BLAST」は、自分たちの数字を客観視できること目標を可視化できる部分に反響が大きく、選手たちは積極的に使ってくれていますね。

これらの機器は大谷翔平選手をはじめとするメジャーリーガーも使用していますし、最速160キロのストレートを武器とする埼玉西武ライオンズの平良海馬投手は6年間「Rapsodo」を愛用しています。

数字が可視化されることで、改善すべき点やどのようなトレーニングに取り組むべきかが明確になります。監督やコーチの指導をサポートする役割も果たしてくれていて、練習の質も上がっているように感じます。

旭川市は雪や寒さが厳しい環境だと思いますが、普段どのような場所で練習を行っていますか?


旧雨紛中学校跡を活用した屋内運動施設「U-BOOM」と業務提携を行い、冬季は週3回使用しています。

暖房も完備されているため、冬季でも怪我の心配をすることなく守備やバッティング練習に打ち込めますよ。

チーム運営の方針と地域との共存

チケットやグッズの収益だけではチーム運営が難しいと思いますが、どのようなビジネスモデルを掲げられていますか。

まず1つ目は部活動の地域移行です。旭川市を中心とする2市8町や教育委員会と連携し、旭川BeːStarsのコーチや選手が子どもたちの部活動の指導にあたっています。旭川BeːStarsの選手たちにとっても、指導を通じて子どもたちとふれあい、応援してもらえることがモチベーションになっているようです。

また、2025年3月より、旭川市出身で元東京ヤクルトスワローズの牧谷宇佐美氏が旭川BeːStarsの『地域共創アドバイザー』として活動を開始し、子どもたちへのより高いレベルでの指導が実現しています。2026年度からは旭川BeːStarsのU-15ジュニアチームも始動し、下部組織から野球の輪を広げてより多くの地元選手にトップチームでプレーしてもらうことが目標です。

子どもたちだけではなく地域のスポーツ施設の管理委託をお引き受けすることで、選手の働き口の確保や市民・町民へのスポーツプログラムの提供も目指しています。

その他にもデジタルを活用したビジネスモデルとしてYouTube配信を強化し、配信中に広告を流す方法でチームに協賛してくださる企業様やメンバーシップ会員を募集する構想も立てています。配信を強化することで、旭川出身で現在道外で生活している方などにも「地元愛」で応援していただければ嬉しいです。

僕自身も実況として参加し、イニング間には旭川市の魅力についてもお伝えしていく予定ですので、球団に興味を持ってくださった方や、遠方にお住まいの方もぜひYouTube配信をご覧ください!

☆YouTubeチャンネルはこちらから!
https://www.youtube.com/@BeStars-asahikawa/streams 

新しい試みとして、女子野球チームの立ち上げも計画しています。男子と違って女子は競技人口が年々増加していることや、近隣にある旭川明成高校女子硬式野球部の選手の卒業後の受け皿を作りたいと思ったことがきっかけです。

2025年5月25日に開催された試合では、元阪神タイガースwomenの前田桜茄さんにお越しいただき、試合前の声出しやヒーローインタビュー、野球教室をしていただきました。旭川明成高校女子硬式野球部とのスペシャルマッチも実施し、男子とは一味違った女子野球の魅力を知っていただくことができたと思います。

今後も女子野球を広めるための活動を続け、毎年千葉県で行われるクラブ選手権で優勝できるような女子チームを作りたいと思っていますので、ぜひご注目ください!

楽しみな取り組みが盛りだくさんですね!続いて、今後実施予定の「ふるさと納税型スポンサーシップ」のねらいについても教えてください。


2025年4月25日、旭川市との包括連携協定を締結し、ふるさと納税型スポンサーシップについては現在準備を進めているところです。

僕自身はチームの単なるファンクラブではなく、地域の魅力や特産品を知ってもらいながら、旭川BeːStarsも一緒に応援してもらえるようなコミュニティを作りたいと思っています。例えば「旭川ラーメン」を選んだ方にはラーメンの詰め合わせセットがご自宅に届くみたいな。

そうすることで旭川市や周辺地域のことも深く知ってもらえますし、地域の課題解決にもつながると思います。

旭川BeːStarsが目指す未来

日本独立リーグ野球機構(IPBL)への参入を目指す理由をお聞かせください。

旭川BeːStarsが所属する北海道ベースボールリーグ(HBL)は日本独立リーグ野球機構(IPBL)に加盟しておらず、現状チーム関係者が高校生・大学生への指導を行うことができないことが理由のひとつです。

IPBL協賛会員になればこれらが可能になり、チームの活動や選手たちのセカンドキャリアの幅が広がると考えられます。

また、HBLは旭川BeːStarsを含めた2球団で構成されており、毎回同じチームと対戦しています。

僕たち運営陣としては、他の独立リーグ球団やアマチュアチームとの練習試合を組むことで、選手のレベルアップを図り、かつ旭川BeːStarsの認知も広げていきたいと考えています。そのため、IPBLに加盟を目指している最中です。

北海道の野球の発展を目指し、野球人口を増やすという意味でもIPBLに加盟し、地域に密着することで、さらに北海道を盛り上げていきたいと思います。

最後に、チームの今後の展望や注目選手を教えてください。

まずはとにかくリーグ優勝することです。そして、旭川BeːStarsからNPBやMLB、台湾・韓国プロ野球に選手を輩出したいというのが大きなテーマです。

注目選手はスロベニア出身で、メジャーリーガーの父を持つカルロス・トーバー選手です。ヘッドスピードが最速150km/sで、この数字はメジャー級と言われています。ポテンシャルは一級品なので、身体をもう少し大きくして、プロで戦える選手に成長してほしいです。

また、ウガンダ出身のチャッゼ・フレッド選手やイサビレ・ムサ・アゼッド選手は速球が魅力の投手です。独自のトレーニング方法がSNSで拡散され、大谷翔平選手にInstagramがフォローされていることで話題を集めたデニス・カスンバ選手も在籍しています!

ぜひ球場へ足を運び、彼らの勇姿を見届けてください!

おわりに

今回は旭川BeːStars・藤原尚也代表にお話を伺いました。

独立リーグといえば四国アイランドリーグplusやルートインBCリーグを想像される方が多いと思いますが、旭川BeːStarsにも充実した育成環境が整っており、野球に一生懸命打ち込めることをぜひ知っていただきたいです!

また、部活動の地域移行やU-15・ジュニア・女子チームの始動によって、旭川市と周辺地域の野球人口が増加することにも期待が高まります。今後のチームの動向にもぜひご注目ください!

Sporkleでは、旭川BeːStarsのメンバーへのインタビューを連載中です!

次回はキャプテン・村上泰士選手にご登場いただきます!お楽しみに✨

関連ページ


公式ホームページ
https://a-bestars.com/ 
Instagram
https://www.instagram.com/a_bestars/ 
X
https://x.com/BeStars_A?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor 
YouTube
https://www.youtube.com/@BeStars-asahikawa 

記事一覧に戻る
MadeInLocalのロゴ

    お問い合わせ

    掲載依頼・取材依頼・Made In Localシリーズおよび地域を代表する企業100選についてのお問い合わせ等、承っております。まずはお気軽にご相談ください。

    お問い合わせはこちら

    会社概要

    Made In Localは、株式会社IOBIが運営する地方創生メディアです。弊社では現在、事業拡大につき、新卒・中途ともに積極的に採用活動を行っております。 ご興味のある方はぜひご一読ください。

    会社概要はこちら
    SDGsのロゴ
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 人や国の不平等をなくそう
  • 住み続けられるまちづくりを

Made In Localは地方創生メディアの運営を通して地域の産業振興や地域間格差の是正に取り組んでおり、「産業と技術革新の基盤をつくろう」・「人や国の不平等をなくそう」・「住み続けられるまちづくりを」の3つのSDGsのターゲットの実現を目指しています。

©︎ 2024 株式会社IOBI all right reserved