中口 直子
『ハタフル』創業までの歩み
お仕事中の臼井さん
ー臼井さんは東京から福島へUターンされたとのことですが、両地域のIT意識の違いはどのような場面で感じられましたか?
お客様と話しているときですね。
例えばWeb広告って誰でも出せるのですが、大手の企業しか出せないと勘違いしていたり、そもそも周りにやっている人がいないから怖い、という感覚の方も結構いらっしゃって。
誰かが進んでやらないと、その地域にはやろうとする人がいない、というパターンが多かったです。
ーそのような状況下での創業のきっかけは何でしたか?
ある企業さんのHPをスマホ対応させた案件が、一番のきっかけでした。
ずっとHPのスマホ対応を放置していた企業さんが、「10年ぶりにお問い合わせが来た! HPからでもお問い合わせって来るんだ」って、その認識からのスタートで。
じゃあ次はこんなことやってみたい、というその企業さんからのお声で、「もっとたくさんの福島の企業さんがITを身近に取り入れるための支援をしたい」と思ったのがきっかけです。
我々がITで企業さんの見せ方を変えることで『知域のもったいないをなくす』ことができたら、と考えています。
ーそれが創業のきっかけだったのですね。御社では『福島TRIP』という福島県のWEBメディアも運営されていますが、始めた時期ときっかけを教えてください。
まだ東京でサラリーマンをしていたときで、東日本大震災の影響が大きいです。
震災当時はテレビなどを通じて現地の悲惨な状況を見ていて、自分には特段できることがないと感じていました。
それから2、3年が経ち、東京在住の福島出身者ということで色々聞かれたり、あらぬ噂を立てられることが重なって、フラストレーションのような感情が湧いてきたんですね。
それまで自分には郷土愛はないと思っていたけど、地元が悪く言われると悔しくて、IT業界にいる自分が福島のポジティブな面を伝えるにはどうしたらいいかな、と考えて生まれたのが『福島TRIP』です。
福島での働き方を変える!『ハタフルアカデミー』
ー現在、Webデザイナー養成スクール『ハタフルアカデミー』の事業に注力されていますが、スクール開設のきっかけは何ですか?
自社での採用経験です。
嬉しいことに応募がたくさんあったのですが、Webデザイナー未経験の方が多くて採用できないという状況になって。
そこで、今後も業界の需要が伸び続けるなら、僕たちがWebデザインを教えて育てたら一番良いんじゃないかって考えに行きつきました。
法人だけでなく、個人の『もったいない』もなくしていけたらな、と。
スクールも従来のものはほとんど都心部にあって、地方にはめちゃくちゃ少ないんですよ。
10年ぶりに東京から福島へ戻ってきても、まだ養成スクールがなくて。
それなら、自分たちで養成スクールを作ってIT人材を育てていくのが良いと思いました。
『ハタフルアカデミー』の皆さん
ー養成スクールの開設以来、現状の変化を感じることはありましたか?
今年の4月に開設したのでまだ卒業生はいないんですが、今受講希望者が10月末まで待ちの状態なんですよ。
しかも郡山市だけじゃなく、福島全域から通っている方たちがいて。
それくらいニーズがあることがわかりましたね。
また、そのうち7割が女性で。
パートか専業主婦という風に、これまで福島では女性の仕事の選択肢がすごく少なかったんですね。
それを望まない女性が、隙間時間に在宅でできるWebデザイナーという選択肢を得るきっかけにもなればいいな、と考えています。
そしてIT人材を求める企業さんと、Webデザイナーという職を求める方たちをマッチングさせることができれば、双方がハッピーになれるんじゃないかな。
ーWebデザイナー養成スクール事業は地方創生だけじゃなくて、個人のライフスタイルを豊かにするものでもあるのですね。
そうですね。
都心だと在宅ワークをしている人も多いけど、福島にはそういった働き方を知らない、やり方がわからないという人がまだまだいる。
そうした個人の”もったいない”も解消できたらな、と思っています。
ーありがとうございます。他の事業に関しては、今後どのように展開していこうとお考えですか?
我々の強みは戦略から集客まで一貫して支援できる点で、それを活かしたいと思っています。
また制作会社なのでその依頼がすごく多くて、我々は講師兼クリエイターという立ち位置で企業さんに対してWebデザインを教える・提案することができる環境にしていきたいですね。
『地域の旗振り役』としての未来
ー『地域の旗振り役』として今後成し遂げたいことはありますか?
今注力しているハタフルアカデミーの県内展開ですね。
郡山市のアカデミーに1時間以上かけて来てくださっている受講者の方も多いので、5年以内にいわき市をはじめとする全域に展開していきたいです。
それだけのニーズがあると思うので。
ーありがとうございます。ではクライアントである福島の企業に対して、今後どのようにサポートしていきたいとお考えですか?
今まで通り、直接支援していくことももちろんですが、今後我々の一番の強みになっていくのが”人材を輩出できる”という点なんですね。
我々が育てた人材を、支援を待っている企業さんにどんどん輩出してマッチング数を増やせば、我々だけでやるよりも多くの企業さんを支援できるんじゃないかな。
そうすれば我々も、企業さんも、スクールの受講生にとっても良い状態になると思っています。
読者へひとこと
ー貴重なお話、ありがとうございました。最後に、地方創生に取り組むメディアの読者へひとことお願いします。
地方創生に携わりたい!という熱意のある方が、都心部にも結構いらっしゃるんですよね。
そのような方は、実際に現地に来て、自分の目で課題を確かめて泥臭くやっていくのが一番なのかな、と思います。
『Made In Local』が、地方創生という同じ価値観を持った人たちを繋ぐハブのようなものになれば楽しいんじゃないかな。
おわりに
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
『地域の旗振り役』として、福島県を独自の切り口で盛り上げていこうとする臼井さんの熱意にとても感銘を受けました。
地方創生メディアとして、この記事が皆さんの心にきっかけを与えるものになれば嬉しいです。
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