【信楽焼の豆知識】なぜお店の前にたぬきの置物を置くのか？

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阪田陽菜

みなさん、こんにちは！ライターのひなです！

日本の伝統的な陶器として知られる信楽焼。その中でも、一度は玄関や家の前で見たことがあるであろうポッコリお腹の「たぬきの置物」は信楽焼産地の滋賀県で生産されているということをご存知ですか？

今回は、「なぜ多くの人がたぬきの置物を飾るのか」について解明していきます！

信楽焼はどんな焼き物？

信楽焼は、滋賀県甲賀市信楽町周辺で作られている陶磁器で、天平時代に生まれたと言われる日本六古窯の一つです。

日本六古窯とは、古来の陶磁器窯のうち、中世から現代まで生産が続く代表的な6つの産地(越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前)の総称で、茶の湯文化が発展した安土桃山時代には、茶器のような茶道具として信楽焼が使われ、信楽焼のわび・さびの自然体の美しさを追求した作品は現代にも生きています。

信楽焼の特徴は、耐火性が高く、ザラザラとした粗めの土質が特徴です。
かつて琵琶湖の原型である古代湖があったころ、湖底に土砂や動植物の死骸が堆積した層があり、そこへ花崗岩や流紋岩の風化物が流れ込んだことで焼き物に適した粘土質ができ上がりました。

焼くとピンクやほのかな赤色に発色し、その表面に焦げを詰めることで他の産地にはない、柔らかく暖かな焼き物を作り出しています。

土のぬくもりを生かした風合いは多くの人に愛され、1976年には、信楽焼は国の伝統工芸品に指定されました。現在は、花器や食器、置物、タイルまで幅広く住宅やインテリアに使われています。

次項では、ついになぜ歴史ある信楽焼にたぬきが登場したのかについて深掘りしていきます！

たぬきの置物は、なぜ全国的に広まった？

たぬきの置物の誕生は、明治時代初期「狸庵」初代の藤原銕造氏が京都から信楽に移り、たぬき専門の窯元『たぬきや』を開いたことから始まりました。

信楽焼のたぬきの置物が有名になった、1951年に昭和天皇が信楽町へ行幸(天皇が外出すること)の際、たくさんの信楽たぬきに日の丸の小旗を持たせ、沿道からたぬきたちが延々と並び歓迎する情景をお気に召された天皇陛下が、その様子を歌に詠まれたという逸話をきっかけに、「信楽＝たぬき」というイメージが全国的に広まっていったといわれています。

信楽町長野の新宮神社には、天皇陛下が詠まれた歌が刻まれた歌碑が建てられています。
実際に読まれた歌が気になる方は、以下のURLから昭和天皇御製・歌碑よりご覧ください！
https://www.shinguujinja.org/precincts/

たぬきの置物は縁起物？どんないいことがある？

たぬきの置物は「縁起物」としても人々から親しまれていることをご存知でしょうか？

たぬきは、「た(他)」・「ぬき(抜く)」つまり、「他を抜く」という意味に通じるため、商売繁盛の縁起物として、昔から店先に置かれるようになりました。
さらに、信楽焼のたぬきの置物は、「八相縁起(はっそうえんぎ)」と呼ばれる、8つの縁起を表しています。

大きな笹：思いがけない災難から身を守るため、普段から準備
大きな目：周囲を見渡し気を配ることで正しい判断ができるように
顔：常に笑顔でお互い愛想よくいることで商売繁盛に繋がる
徳利：飲食には困らず(商売がうまくいく)人徳をもてるように努める
通い帳：信用が第一
大きなお腹：冷静さと大胆さを持ち合わせよう
大きな金袋：お金を自由自在に使えるほどの金運に恵まれる
太いしっぽ：何事もしっかりした終わりを迎えることが真の幸福

このように、日ごろから心がけたい教えがたぬきの置物全体から提示されています。