京都には時代の最先端を行く信用金庫があるのをご存知でしょうか?
営業ノルマ廃止,ソーシャル・グット企業への投資,社内ベンチャー立ち上げと、伝統的な金融機関とは一線を画し、社会課題と対話する新時代の信用金庫が「コミュニティ・バンク京信(京都信用金庫)」です。
そしてコミュニティ・バンク京信から、2020年に若き職員が立ち上げた社内ベンチャー第1号「京信人材バンク」が6年目を迎えました。
京信人材バンクはどのような社会を実現させようと考えているのか、この組織を立ち上げた共同代表の矢野様に取材をさせていただきました。
コミュニティ・バンク京信はなぜ、人材事業をはじめることになったのか?
1-1.コミュニティ・バンク京信が人材事業を始めることになったのはどのようなきっかけがあったのでしょうか?

コミュニティ・バンク京信として社内ベンチャー立ち上げを行ったのは、京信人材バンクが初めてでした。
当時、職員からの提案によって新部署創設を行うことを「社内ベンチャー」と名付け、発起人である職員2人を「共同代表」に立ててスタートしました。
ほかにも「京信デジタルLab」という取り組みがコミュニティ・バンク京信における社内ベンチャー第2号として運営中です。
1-2.矢野様は創設時から共同代表として携わっておられますが、どのような想いから京信人材バンク立ち上げを行われたのでしょうか?
私が、京信人材バンク事業を立ち上げようと考えたきっかけは、大学時代に借りた奨学金でした。
大学卒業時の選択肢として、起業や大学院に行きたいという思いを強く抱いたものの、奨学金(借金)という目の前の現実が、私のチャレンジを断念させることになりました。
母子家庭であまり経済的に豊かではなかったことから、約400万円を借りなければならないという現実に大学生の途中で気づき、「自分が何か悪いことをしたわけでもないのに、なぜそのような借金を背負わないといけないんだろう」と理不尽さを感じ、憤っていました。しかし、同時に「奨学金(借金)は社会問題だから怒っていても仕方ない」という気持ちもあったのです。
こうした経験から「もっとチャレンジしやすい社会にしたい。そういう環境をつくるために働きたい」という想いのもと就職活動を開始し、当時構想していた新しい地域循環型の奨学金制度を面接で伝え、良い反応をしてくれたコミュニティ・バンク京信に入庫しました。
入庫後、5年かけて金庫の業務を行いながら、奨学金制度の案も考えていましたが、現在の京信人材バンクの構想にシフトし、提案をまとめたところ社内ベンチャーとして活動を開始することができました。
京信人材バンクの活動については、外からの理解を得るよりも金庫内の営業店への周知を広げないといけないことが大変でした。また、事業としては収益を上げ、活動の幅を広げていきたい一方で、信用金庫として公益性とのバランスを求められる部分もあり、現在も苦悩しています。新しいことを始めるにあたって壁や悩みは多いと思いますが、現在は世間での働き方も多様になってきたこともあり、多くの協力者を通じて、啓蒙・広報活動を行うことができています。
京信人材バンク事業を通じて何より私が成し遂げたかったことは、地域や組織の枠を超えた働き方を広げることで、企業・働き手・地域の三方よしな『まちのワークインフラ』を実現することです。
当初求めていた奨学金制度は、金銭面から学生のチャレンジを後押しするというものでしたが、現在は「人」や「仕事」の繋がりからチャレンジを後押しする社会づくりに貢献しています。
京信人材バンクの業務内容について
2-1.2020年の創設以来、どのようなことに取り組まれているのでしょうか?

コミュニティ・バンク京信の取引先企業様を中心に、採用や人事に悩みを持つ企業様の課題に合わせて、正社員や複業人材といった人材紹介や人材ソリューションを提供中です。
京都・滋賀・大阪エリア(コミュニティ・バンク京信営業エリア)の中小企業を対象に、事業拡大や欠員補充など様々な目的での採用課題が上がってきます。
このほかにも「人手不足で採用したい」という入口もあれば、「SNS運用をしたいが自社でノウハウがなくできていないので、助けてもらえる人材がいないか」「新商品の販路開拓を強化したいので、助けてほしい」という事業・経営課題から人材の相談に繋がることもあります。
これらの求人企業の人事課題や経営状況を汲み取った上で、最適な手段・ソリューションを提案できるように営業店・本部で連携して取り組んでいます。
2-2.これから「複業人材」に力を入れていきたいとお話を伺ったことがあるのですが、この点について京信人材バンクとしてはどのようなことに取り組もうとお考えでしょうか?
複業人材は京都・滋賀・大阪エリアの方が多く、地域に縁のある方が登録されています。
なかでもご自身の時間やスキル、経験、ネットワーク等を自己成長や地域貢献のために活かしたい人が多く、バックグラウンドも多種多様で一言でお伝えすることが難しい個性的な方々にご登録いただいております。
既存の複業プラットフォームとの違いは2点ございます。
1点目は金融機関ならではの信用力を活かした紹介の安心感や企業・人材双方への理解の深さ(人柄まで含めた理解)です。
そして2点目は、他の複業プラットフォームとは異なる強みとして、登録できる人は対面で私たち(職員)にお会いしたことがある人に限定し、リアルなコミュニケーションにこだわった紹介を行っている点が挙げられます。
こうした特徴は信用金庫の事業として単なるスキルマッチングではない、地域ならではの繋がりを形成していると考えます。
今後の展望
3-1.今後、京信人材バンクとして はどのような活動をしていきたいと考えておられますか?

この動きを私たちだけで終わらせず、地域金融機関という公共性を活かして地域で行政や教育機関、大企業とも連携し、ムーブメント化していくために啓蒙・発信活動を強化していきたいです。
現在、コミュニティ・バンク京信内でセミナーや経営者の会を通じて、活動内容を発信しているほか、外部のセミナーに登壇させていただくことで発信を行っています。
また今後は、都市部の複業人材にも京信人材バンクの活動内容を広め、地域内の「人」・「仕事」の循環がやがて地域外へと波及し、京都に「人」・「仕事」が集まる流れ(関係人口・移住・企業移転など)を作りたいです。
こうした活動が「京都にいけば面白い企業や働き方がある」という魅力づくりに繋がれば良いなと思います。
そのためにも、まずは京都から「まちのワークインフラ京都モデル」をつくり、今後10年間で他の地域にもモデルを横展開できるように取り組んでまいります。この先進事例は、信用金庫である私たちだからこそ作れるモデルだと思います。
地域と運命共同体である信用金庫は、地域を活性化させないといけないからこそ本気でこの事業に取り組めますし、地域内の細かな部分まで日々の活動で見ているからこそ、細やかで、小回りの利くご提案も可能です。
信用金庫の強みを活かして、これからのダウンサイジング社会における企業経営・地域経営のあり方の一助になることを目指しています。
さいごに

このように、コミュニティ・バンク京信は全国で活用できるモデルを構築し、それがやがて京都に還元されることを目指して、数々の先進的な取り組みを打ち出し、これまで積み上げてきた「伝統と信頼」に加えて「革新性」という武器も手にしました。
地方銀行・信用金庫等の地域金融機関は減少傾向にある中で、地域に新たな価値提供が求められています。
今回のお話から、1人ひとりが地域や社会のために自分たちの持ち味を活かしてできることを考える大切さと、前向きな姿勢がより良い社会を作る好循環になるのだと強く感じさせられました。
会社名:コミュニティ・バンク京信(京都信用金庫) 京信人材バンク
所在地:京都市下京区四条通柳馬場東入立売東町7番地
設立年:1923年(大正12年)
名 前:矢野 凌祐(共同代表)
リンク:https://kyoshin-jinzai.jp/
※「コミュニティ・バンク京信」は京都信用金庫のブランドネームです。
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