心豊かに働ける農園に―株式会社尾原農園 代表取締役 尾原由章―
前原 未有

農園を始めたきっかけとこれまでの挑戦

―尾原農園を始められたきっかけは何ですか?

僕が生まれ育ったこの安芸市はもともと農業、特にハウス園芸の大産地で、親の代から農業を始めたんです。

僕は大学を卒業した後はサラリーマンとして働いていたのですが、25歳の時に将来のビジョンを考えたときに、まったく無知だった農業を一から勉強して引き継ぐことを決めました。


―まったく知らない世界に飛び込むのは大きな挑戦ですよね。

そうですね。20代の頃から、自分が成長するために何をすればいいのかを常に考え、少しずつ色んな環境に出てチャレンジすることで視野を広げてきました。

現在は経営者という立場なので、働いてくれている人の環境や、地域への会社の貢献などを考える必要があります。まだまだ成長途中なので、できることはたくさんしようと思って頑張っています。

今は農業だけでなく、地元の消防団員や集出荷場の副運営委員長として活動したり、全国の中小企業経営者の集まりである「中小企業家同友会」に所属するなどして様々な人と交流し、活動の幅を広げています。


―尾原農園ではAI技術やIoTなど様々な新しい技術を率先して導入しているんですよね?

はい。10年ほど前にオランダに農業を学びに行き、世界ではIT技術などが農業に広く用いられていることを知りました。

日本に戻り、日本でも何かできないかなと考えた時に、当時から高知県の農業振興部の後押しもあり、地域の若手農家を集めて勉強会を立ち上げました。

そして生産性を向上させるために、ハウス内の環境をデータ化できる機器や、光合成に必要なCO2発生機などを導入しました。

小さな失敗を繰り返し、試行錯誤しながらチャレンジすることが実を結んでいったので、とても楽しかったです。

最近ではこのような技術は農業の中で結構当たり前になってきているのですが、当時はあまり広がっていなかったので、勉強のために全国の先進地の視察や、講演会にも参加していました。


今ではスマホ一つで、ハウス内の様子の確認や植物に最適な温度や湿度、光の量などに調節することができるようになっています。


現在の日本の農業

―現在、尾原農園では何人の方が働いておられるのでしょうか?

現在は老若男女、計19名が働いています。

高校生のアルバイトの子や、インドネシアから来て特定技能実習生として働いているスタッフなどもいます。


―結構若い方も働いておられるんですね。

日本の農業は少子高齢化でどんどん衰退していっているというイメージを持たれていると思います。

確かに農業人口は減っているのですが、国内にも海外技能実習生らの増加があり、実質的にこの10年間、野菜の生産量は減っていないんです。

生産の1/3ぐらいは技能実習生に頼っているというのが日本の農業の現状です。


―そんなに多いんですか!全然知らなかったです。

ですが、フィリピンやベトナムなどではどんどん経済発展が進む一方で日本では円安が進んでおり、これまで日本の方が8~9倍高かった賃金差が徐々になくなってきているんです。だから今後はこれまでのように海外実習生が来てくれることはなくなっていくと思います。


―そうなると、日本で後継者を見つけていくことが重要になってきますよね。

そうですね。

そんなに高い給料をもらえるわけではないというのが現状ですが、一口に農作物と言っても僕たちが育てているピーマンのようにどんどん消費してもらう「消費財」から、リンゴや桃のようにブランド化できる「嗜好品」まで幅広く、売り方や戦略も様々で面白いんです。

自由な環境で多様にチャレンジできることを魅力に感じてもらえたらなと思います。


これからの尾原農園

―尾原農園を経営されていてやりがいを感じるのはどんなときですか?

1年を通して害虫や病気などに見舞われることもある中で、やはり綺麗で品質の良いピーマンがたくさん収穫出来てみんなが笑顔で働いているときは嬉しいですね。

あとは、外部の方から「尾原農園は良い農園だよ」と言われたときは嬉しいですし、そのような職場環境を作っていきたいと思っています。


―今後の目標はなんですか?

尾原農園を、心の豊かさを取り戻してもらえる「人間再生農場」のような場所にしていけたらいいなと思っています。

都会でなんのために働いているのかわからず、疲れ果てている人はたくさんいると思います。

絶対にそこにいなければいけない理由はないのですから、そんな人たちにぜひ田舎に来て農業をしてもらい、心の豊かさを取り戻して働けるような職場にしていきたいです。

すごく給料が高いわけではないけど、そういうことを農業はできるのではないかなと思っています。


―読者の方にメッセージをお願いします!

その地域に住んでいる人だけで地域を活性化しようとするより、都会で活躍していた人、一旗揚げた人が一緒に考えてくれることによってイノベーションが生まれ、地域が盛り上がっていくと思います。

なので、「一緒に地方創生に取り組みませんか」と伝えたいです!


企業名

株式会社尾原農園

所在地 

〒784-0042 

高知県安芸市土居1663

創業年 

2015年4月1日

代表者 

代表取締役 尾原由章

事業内容 

施設ピーマンの生産・販売

WEBサイト 

株式会社 尾原農園 (oharafarm.co.jp)

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