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私たちの日常はたくさんので溢れていますが、その中で皆さんはどんな音が好きですか?
風や川のせせらぎのように自然が生み出す音楽器の奏でる音虫の音など、様々な音がありますよね。

は通常耳で「聴く」ため、今回の記事のタイトルにある「音風景」という言葉に「耳で聴くはずの音なのに、なぜ目で見るというイメージの強い風景なの?」「音風景って一体何!?」と疑問を抱いた方も多いかもしれません。

日本語では馴染みがないかもしれませんがこの「音風景(Soundscape)」とは、カナダの現代音楽作曲家・環境思想家・教育家であるR.マリー.シェーファーによって提唱され、世界中に広まった言葉です。

簡単に言うと、人々と繋がってこそ意味のある音の環境ということですね!

今回は、そんな「日本の音風景100選」の選定の裏側や実際にどのような音風景が選定されているのかについて見ていきましょう!

選定基準〜誰がどのように選んだ?~


まずは日本の音風景100選がどのように選ばれたのかについて見ていきましょう!

日本音風景100選は、平成8年1月から3月にかけて「地域のシンボルとして大切にし、将来も残していきたいと願っている音の聞こえる環境(音風景)」という募集条件で、全国各地から公募されました。

そして、公募により集まった数多くの音風景の中から「日本音風景検討会」が、以下の4つの基準を特に重視して、100選の選定を行いました。

音風景100選の条件


①公募の基本的要件との整合性
②人との接点
③音の状況
④音環境を保全しようとする取組の状況

これらの基準により選定された音風景100件は、平成8年の7月1日付けで日本音風景100選」に認定されました。

100選に選ばれた音風景の内訳は、鳥の鳴き声などの生き物の音声31件・波音などの自然現象19件・祭りなどの生活文化17件・前記3つの複合音12件その他1件です。

非常に多様な音風景が選ばれていることが分かりますね!

公募条件や選定基準を見て分かるように、ただ綺麗なだけではなく、人や環境との繋がりが大切にされている点がとても素敵ですよね!

音風景100選のはじまり


選定基準について知ったことで、日本の音風景100選には様々な人の想いが込められていることがお分かりいただけたと思います。

それでは、次に音風景100選がどのようにして始まったのかを詳しく見ていきましょう!

日本の音風景100選の取り組みは、以下の2つの目的から始まりました。

音風景100選の目的


➀日常生活の中で耳を澄ませば聞こえてくる様々な音の再発見を促す。
➁良好な音環境を保全するための地域に根差した取り組みを支援する。

音は、私たちの心を癒したり、時にはその物を象徴したりするような重要性がある一方で、意識しなければ聞き流してしまったり、他の生活音などにかき消されてしまったりという繊細な側面もあります。

そんな「」とその「」を生み出す環境を未来まで大切にしていこうという取り組みこそが「日本の音風景100選」なのです。

騒音問題は公害のなかでも、最も苦情件数の多いものです。喧騒に包まれる都市の中にも、耳を澄ませると聴こえてくる素敵な「」がたくさんあります。

音風景100選には、私たち住民に「音環境に関心を持って、良好な音環境を作っていこう」という心を持ってほしいという願いも込められています。

100選に選ばれている音風景は、どれも地域固有の、後世に伝えたい大切なものです。

私たち一人一人が、身近な音環境を守っていくための心遣いができると良いですね!

見に行こう!聞きに行こう!日本の音風景おすすめ3選


それでは、日本の音風景100選に素敵な背景があることを知ったうえで、実際に足を運んで音風景を見て、聞いて堪能してみましょう!

今回は100選の中でもおすすめの音風景3選を紹介します。

➀ねぶた祭(青森県)


1つ目は青森県のねぶた祭です。ねぶた祭は、国の重要無形民俗文化財にも指定されており、巨大で華やかな灯籠が山車に乗せられて、街中を練り歩く祭りの様子は、日本人なら多くの人が想像できると思います。

そのような視覚的な派手さに目がいきがちなねぶた祭ですが、実は祭りを盛り上げている要素の1つに「ねぶた囃子」と呼ばれる音もあるのです。

篠笛・太鼓・鉦の演奏に踊り手たちの「ラッセ―ラー」という勇ましい掛け声が加わり、その音を聴くだけで祭りの賑わいを感じることができます!

賑やかな囃子に華やかな巨大灯籠の合わさった日本伝統の音風景です。

ねぶた祭
開催時期:毎年8月2日から7日
公式HP:https://www.nebuta.jp/
音源:https://www.ince-j.or.jp/sound(東北タブ9)

➁卯建の町の水琴窟(岐阜県)


2つ目に紹介するのは岐阜県にある卯建の町の水琴窟です。

美濃市で最も古く、江戸時代の民家の建物様式として卯建が残る旧今井家住宅の中にあるのが100選に選ばれた水琴窟です。

水琴窟は、地中に埋めた甕に水滴音を共鳴させて音を楽しむ装置で、日本庭園文化における最高技法のひとつとされています。
江戸時代から町家の坪庭などに設置されて、澄んだ音が美しく響き渡る雅さから風流人に好まれました。

旧今井家の中庭の一角にある水琴窟が奏でる「カンカン」という控え目ながらも美しい音は、古い町並みが魅力の旧今井家住宅の風景とマッチして、穏やかで侘び寂びを感じさせる雰囲気を作り出しています。

旧今井家住宅
所在地:岐阜県美濃市泉町1883
アクセス:長良川鉄道「美濃市駅」から徒歩約15分
開館時間:4月~9月 9:00~16:30、10月~3月 9:00~16:00
公式HP:https://minokanko.com/seeing/category/history-culture/p5974/
音源:https://www.ince-j.or.jp/sound(東海タブ50)

➂五和の海のイルカ(熊本県)


3つ目が熊本県の五和の海のイルカです。

天草市五和町二江の周辺海域に生息する、野生のミナミハンドウイルカの鳴き声が音風景100選に選ばれています。

船からイルカたちを見ることができるイルカウォッチングが1年を通して実施されており、実際にイルカたちが泳ぐ姿を見たり、鳴き声を聴いたりすることができます。
遭遇確率は9割以上で、春から夏にかけてがベストシーズンです!

他の動物にはない「キュイキュイ」という神秘的なイルカの声と「ザーザー」という穏やかな波の音、広い海で泳ぐイルカたちの様子を楽しむ旅は100選に選ばれてしかるべき音風景です。

イルカウォッチングに参加したい方は、下のリンクから公式ホームページをご覧ください。

イルカウォッチング公式ホームページ:https://www.iruka-watching.jp/time/


イルカウォッチング
所在地:熊本県天草市五和町二江4689-20
料金:大人3000円、小学生2000円、子ども1000円
公式HP:https://www.iruka-watching.jp/time/
音源:https://www.ince-j.or.jp/sound(九州・沖縄タブ92)

「音風景」の音を聴いてみよう!


おすすめの音風景3選を見たところで、実際にどんな音なのか気になった方も多いのではないでしょうか。
そして、他にも100選に選ばれている音には一体どんなものがあるのか聴いてみたいですよね。

実は100選に選ばれている音風景は全て聴くことができます
公益社団法人・日本騒音制御工学会のホームページで音源が公開されているので、以下のリンクからぜひ聴いてみてください。

日本の音風景100選・音源データ:https://www.ince-j.or.jp/sound

様々な音が選ばれているので、自分のお気に入りの音風景を見つけてみてはいかがでしょうか。
音を聴いて旅行先を決めてみるのも新しい視点で面白いかもしれませんよ!

癒される音や面白い音がたくさんあるので、音を聴くのが好きな方や実際には行けないけれど聴いてみたいという方にもおすすめです!

おわりに


いかがでしたか?
新しいの魅力をたくさん発見できたのではないでしょうか。

音風景100選に選定されている場所は日本全国にあるので、意外にも皆さんのすぐ近くに魅力的な音風景が潜んでいた…なんてこともあるかもしれません。

自分の周りにどんな音風景があるか考えながら生活すると、日々の楽しみも増えそうですね!ぜひ旅行先を決めるときにも活用してみてください!

音はとても繊細なので、私たちも日々の生活で騒音を出していないか配慮しながら生活し、美しい音風景を継承していくことが大切です!

それでは、また次のニッポンの百選記事でお会いしましょう。

日本の音風景100選 一覧


北海道


001 オホーツク海の流氷:北海道オホーツク海沿岸
002 時計台の鐘:北海道札幌市
003 函館ハリストス正教会の鐘:北海道函館市
004 大雪山旭岳の山の生き物:北海道東川町
005 鶴居のタンチョウサンクチュアリ:北海道鶴居村

東北地方


006 八戸港・蕪島のウミネコ:青森県八戸市
007 小川原湖畔の野鳥:青森県三沢市
008 奥入瀬の渓流:青森県十和田市
009 ねぶた祭・ねぷたまつり:青森県青森市、弘前市
010 碁石海岸・雷岩:岩手県大船渡市
011 水沢駅の南部風鈴:岩手県奥州市
012 チャグチャグ馬コの鈴の音:岩手県滝沢村
013 宮城野のスズムシ:宮城県仙台市
014 広瀬川のカジカガエルと野鳥:宮城県仙台市
015 北上川河口のヨシ原:宮城県石巻市
016 伊豆沼・内沼のマガン:宮城県栗原市、登米市
017 風の松原:秋田県能代市
018 山寺の蝉:山形県山形市
019 松の勧進の法螺貝:山形県鶴岡市
020 最上川河口の白鳥:山形県酒田市
021 福島市小鳥の森:福島県福島市
022 大内宿の自然用水:福島県下郷町
023 からむし織のはた音:福島県昭和村

関東地方


024 五浦海岸の波音:茨城県北茨城市
025 太平山あじさい坂の雨蛙:栃木県栃木市
026 水琴亭の水琴窟:群馬県吉井町
027 川越の時の鐘:埼玉県川越市
028 荒川・押切の虫の声:埼玉県江南町
029 樋橋の落水:千葉県香取市
030 麻綿原のヒメハルゼミ:千葉県大多喜町
031 柴又帝釈天界隈と矢切の渡し:千葉県松戸市、東京都葛飾区
032 上野のお山の時の鐘:東京都台東区
033 三宝寺池の鳥と水と樹々の音:東京都練馬区
034 成蹊学園ケヤキ並木:東京都武蔵野市
035 横浜港新年を迎える船の汽笛:神奈川県横浜市
036 川崎大師の参道:神奈川県川崎市
037 道保川公園のせせらぎと野鳥の声:神奈川県相模原市

中部地方


038 富士山麓・西湖畔の野鳥の森:山梨県富士河口湖町
039 善光寺の鐘:長野県長野市
040 塩嶺の小鳥のさえずり:長野県岡谷市、塩尻市
041 八島湿原の蛙鳴:長野県下諏訪町、諏訪市
042 福島潟のヒシクイ:新潟県新潟市
043 尾山のヒメハルゼミ:新潟県糸魚川市
044 称名滝:富山県立山町
045 エンナカの水音とおわら風の盆:富山県富山市
046 井波の木彫りの音:富山県南砺市
047 本多の森の蝉時雨:石川県金沢市
048 寺町寺院群の鐘:石川県金沢市
049 蓑脇の時水:福井県越前市
050 遠州灘の海鳴・波小僧:静岡県遠州灘
051 大井川鉄道のSL:静岡県川根本町
052 東山植物園の野鳥:愛知県名古屋市
053 伊良湖岬恋路ヶ浜の潮騒:愛知県田原市
054 伊勢志摩の海女の磯笛:三重県鳥羽市、志摩市
055 卯建の町の水琴窟:岐阜県美濃市
056 吉田川の川遊び:岐阜県郡上市
057 長良川の鵜飼:岐阜県岐阜市、関市

近畿地方


058 三井の晩鐘:滋賀県大津市
059 彦根城の時報鐘と虫の音:滋賀県彦根市
060 京の竹林:京都府京都市
061 るり渓:京都府南丹市
062 琴引浜の鳴き砂:京都府京丹後市
063 淀川河川敷のマツムシ:大阪府大阪市
064 常光寺境内の河内音頭:大阪府八尾市
065 垂水漁港のイカナゴ漁:兵庫県神戸市
066 灘のけんか祭りのだんじり太鼓:兵庫県姫路市
067 春日野の鹿と諸寺の鐘:奈良県奈良市
068 不動山の巨石で聞こえる紀ノ川:和歌山県橋本市
069 那智の滝:和歌山県那智勝浦町

中国地方


070 水鳥公園の渡り鳥:鳥取県米子市
071 三徳川のせせらぎとカジカガエル:鳥取県三朝町
072 因州和紙の紙すき:鳥取県鳥取市
073 琴ヶ浜海岸の鳴き砂:島根県大田市
074 諏訪洞・備中川のせせらぎと水車:岡山県真庭市
075 新庄宿の小川:岡山県新庄村
076 広島の平和の鐘:広島県広島市
077 広千光寺驚音楼の鐘:広島県尾道市
078 山口線のSL:山口県山口市、島根県津和野町
079 関門海峡の潮騒と汽笛:山口県下関市、福岡県北九州市

四国地方


080 鳴門の渦潮:徳島県鳴門市
081 阿波踊り:徳島県徳島市他
082 大窪寺の鐘とお遍路さんの鈴:香川県さぬき市
083 満濃池のゆるぬきとせせらぎ:香川県まんのう町
084 道後温泉振鷺閣の刻太鼓:愛媛県松山市
085 室戸岬・御厨人窟の波音:高知県室戸市

九州地方


086 博多祗園山笠の舁き山笠:福岡県福岡市
087 観世音寺の鐘:福岡県太宰府市
088 唐津くんちの曳山囃子:佐賀県唐津市
089 伊万里の焼物の音:佐賀県伊万里市
090 山王神社被爆の楠の木:長崎県長崎市
091 通潤橋の放水:熊本県山都町
092 五和の海のイルカ:熊本県天草市
093 小鹿田皿山の唐臼:大分県日田市
094 岡城跡の松籟:大分県竹田市
095 三之宮峡の櫓の轟:宮崎県小林市
096 えびの高原の野生鹿:宮崎県えびの市
097 出水のツル:鹿児島県出水市
098 千頭川の渓流とトロッコ:鹿児島県屋久町
099 後良川周辺の亜熱帯林の生き物:沖縄県竹富町
100 エイサー:沖縄県うるま市

参考


一般社団法人日本サウンドスケープ協会
https://soundscape-j.org/soundscape.html
環境省「残したい日本の音風景100選」
https://www.env.go.jp/air/life/nihon_no_oto/
公益社団法人日本騒音制御工学会
https://www.ince-j.or.jp/sound
残したい「日本の音風景100選」の概要
https://www.ince-j.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/03/02_2007oto100sen_Pamphlet.pdf
残したい「日本の音風景100選」のパンフレット
https://www.ince-j.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/03/01_oto100HP_gaiyo.pdf
環境省「耳をすますと素敵な音が聞こえてきます」
https://www.env.go.jp/air/life/sonooto.pdf
INSIDE LOCAL JAPAN「ねぶた祭」
https://insidelocaljapan.com/ja/archives/12989
ねぶた祭公式ホームページ
https://www.nebuta.jp/
有限会社ティーズ・コーポレーション「水琴とは?」
https://www.suikinkutsu.net/what-is-mizugoto/
岐阜の旅ガイド「旧今井家住宅・美濃史料館」
https://www.kankou-gifu.jp/spot/detail_3184.html
天草観光イルカウォッチング
https://www.dolphincruise.jp/
イルカウォッチング受付センター
https://www.iruka-watching.jp/info/infos/important/

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