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こんにちは!ライターのゆららです。
織田信長ゆかりの城のひとつ、岐阜城。
金華山の山頂に築かれた山城で「美濃(岐阜)を制する者は天下を制す」とまで謳われた、戦国時代の名城です。
現在も跡地に再現された天守閣が、岐阜のシンボルとして多くの人々に親しまれています。
「信長の城」としては滋賀県にある安土城の印象が強いですが、実はこの岐阜城こそ、信長がもっとも長く天下統一の拠点とした城なのです。
そんな岐阜城には、まだ”一大名”に過ぎなかった信長が、自らを「天下人」として印象づけるための工夫が、これでもかと施されています。
当時の建築はあまり残っていないものの、そうしたこだわりを知れば、岐阜城観光がぐっと面白くなるはずです。
それでは、信長渾身の城・岐阜城の知られざる魅力に迫っていきましょう!
大迷宮!?複雑すぎる岐阜城の構造
岐阜城は、元の名を「稲葉山城」といい、織田信長の手に渡るまでは「美濃のマムシ」として恐れられた斎藤道三の居城でした。
信長が城主となってから「岐阜城」に名を改め、構造自体も大きく様変わりしたのです。
その際、従来の城にはなかった、先駆的な仕掛けがいくつも盛り込まれました。
まずは、そんな岐阜城の特殊な構造を見ていきましょう!
周囲から隔絶した、孤高の山上天守
岐阜城が建つ金華山は、断崖絶壁に囲まれた標高328mの険しい山。
現在はロープウェイで登ることができますが、その平均勾配はなんと25度!
スキー場の上級者コースに匹敵する急斜面で、山頂にはほとんど平地がありません。
にもかかわらず、この場所には当時から三層三階建ての立派な天守が建っていました。
それも岐阜城は物見やぐらのような簡易的なものではなく、金の鯱までついた豪華な建物だったそうです。
加えて、天守の周囲には台所や倉庫などの施設もあり、庭園まで整備されていたのだとか。
人が住むにはあまりに過酷な山頂に、よくこれだけの建築物を建てたものだと驚かされます。
同じ時期に建てられた山城は他にもたくさんありますが、ここまで周囲から隔絶した城は、そうありません。
まさに岐阜城は「孤高の空間」だったのです。
ぜひ現地を訪れた際は、この天守が当時の人々にどれほどの驚嘆をもたらしたのか、思いを馳せてみてください。
【岐阜城天守閣 基本情報】
住所:〒500-0000 岐阜県岐阜市金華山天守閣18番地
TEL:058-263-4853
営業時間:3/16~10/16 9:30~17:30
10/17~3/15 9:30~16:30
入場料:大人 200円、小人 100円
アクセス:〈公共交通〉JR岐阜・名鉄岐阜駅より岐阜バスで「岐阜公園前」下車、徒歩約3分でロープウェー乗り場、山頂駅から徒歩約8分。
〈車〉東海北陸道「岐阜各務原IC」より約8km、岐阜公園駐車場利用後ロープウェーで。
URL:https://www.city.gifu.lg.jp/kankoubunka/kankou/1013051/1005097/1005098.html
アクロバティックな大迷宮!格の違いを見せつける山麓御殿
そして天守以上に個性的な構造をしていたのが当時、金華山のふもとに建っていた御殿です。
現在は岐阜公園となっていますが、信長はこの山麓御殿で、家臣や客と公式に対面したり、政務を行ったりしました。
興味深いのは、この御殿の空間がいくつものセクションに分けられ、明確な序列がついていたこと。
多くの人が出入りする「表」から、信長の居所である「奥」へ向かって、段差がつけられだんだん高くなっているのです。
これは、信長が家臣と横並びではなく「上に立つ者」であることを視覚的に示すためだったと考えられています。
さらに、それらの空間は長く入り組んだ廊下でつながれ、全体として非常に複雑な構造になっていました。
ふもととはいえ、絶壁や段差の多い険しい土地に建っていたため、段差を覆う特異な形の建物や、斜面に張り出した建物がいくつも立ち並んでいたのだとか。
当時この御殿を訪れた宣教師ルイス・フロイスは、「次々に新たな部屋が現れ、どこに部屋があり、どう繋がるのかを理解するのが難しい。」と記しています。
異国の人も驚きの、大迷宮だったんですね!
【信長公居館跡 基本情報】
住所:〒500-8004 岐阜県岐阜市千畳敷(岐阜公園内)
TEL:058-214-2365
料金:無料
アクセス:〈公共交通〉JR岐阜・名鉄岐阜駅より岐阜バスで「岐阜公園歴史博物館前」下車、徒歩5分
〈車〉東海北陸道「岐阜各務原IC」から約8km、駐車場あり
URL:http://www.nobunaga-kyokan.jp/
岐阜城内をメタバースで体感しよう!
さて、そんな興味をそそる岐阜城内、当時の面影はもうほとんど残っていませんが、叶うことなら、城の中を思いきり探検してみたかったですよね。
そんな願いを、なんと仮想空間で叶えることができます!
オンラインゲーム「フォートナイト」に、当時の岐阜城が3DCGで完全再現された島があるんです。
これは岐阜県が専門家の協力を得て公式に制作したもので、その精度は折り紙付き。
このゲームの中でなら、アバターを操作して、城内を自由に歩き回ることができますよ!
スマートフォンやパソコンなどの対応機器があれば、無料ですぐにプレイが可能です。
断崖絶壁をぴょんぴょん飛び越えながら天守を目指すもよし、ふもとの御殿で思う存分探検するもよし。
さらには、現在のパノラマ写真と切り替えて、見比べられるモードも用意されています。
ゲームで当時の様子を疑似体験してから現地を訪れれば、岐阜城を見る目がきっと変わるはずです!
▶ゲームの詳細はこちら!
信長のちょっと変な岐阜城での暮らしぶり
信長が権威を見せつけたのは城の構造によってだけではありません。
岐阜城での”暮らしぶり”にも、周囲との上下関係を強調したいという意図を、読み取ることができます。
実は、信長が普段生活していたのは山麓の御殿ではなく、なんと山頂の天守。
普通、天守といえば戦の際に使う要塞で、お殿さまが住むことは滅多にありません。
しかし信長は、周囲から隔絶された不便な天守にわざわざ住むことで、自らが孤高の存在であることをアピールしたんですね!
そして、信長はそんな山城からふもとの御殿まで、毎日せっせと“出勤”していました。
道中では、家臣や使者からの報告を受け取っていたといいます。
しきたりや作法を気にしなければならない御殿よりも、自由度の高い路上のほうが、意思の疎通がスムーズだったのだとか。
なるほど、とても合理的ですが、ちょっと変わった仕事スタイルですね(笑)
「岐阜」という名に込めた、天下統一への強い意志
周囲との隔絶・明確な序列づけ・そして広大で複雑な御殿——
岐阜城には「唯一無二の天下人として君臨するのだ」という信長の強い意志が、随所に表れています。
ここ「岐阜」は、まさに信長が天下統一への第一歩を踏み出した、特別な場所だったのです。
実は「岐阜」という地名そのものにも、そんな信長の想いが込められています。
一説には「周の文王が岐山から起こり、天下を定めた」という中国の故事にあやかり、この地を“新たな天下取りの拠点”とするべく、自ら命名したのだそうです。
そして、信長が岐阜に入城したのと同時に使い始めたのが、あの有名な印章「天下布武」。
これをもって、信長は天下統一への野望を明らかにしたのです。
だからこそ、この岐阜城に、自らの権威を印象づける工夫を数多く施したんですね。
ちなみに、信長の「天下布武」の印章を模したスタンプが、岐阜城資料館に設置されています。
天守を訪れた際には、ぜひ押して、天下人・信長の気分を味わってみてください♪
おわりに
いかがでしたか?
山上に築かれた孤高の天守・複雑に入り組んだ山麓御殿・天守に住んだ信長のユニークな暮らしぶり。
一見奇抜にも思えるこれらの構造や行動には「自分こそが天下を治める者である」という、信長の強い意志が一貫して表れていました。
そうした背景を知ったうえで訪れる岐阜城は、ただの名城とはまったく違った姿を見せてくれます。
ぜひ一度、信長が天下人としての道を歩み始めた岐阜城へ、足を運んでみてください!
参考
岐阜城天守閣|岐阜市
https://www.city.gifu.lg.jp/kankoubunka/kankou/1013051/1005097/1005098.html
信長の城|千田嘉博(岩波新書)
岐阜城いまむかし|中日新聞岐阜総局 編(中日新聞本社)
信長公の”おもてなし”をたどる旅|ぎふ歴史遺産活用推進協議会
https://www.city.gifu.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/029/296/r6omotenashi.pdf
岐阜城跡 公式リーフレット|岐阜市教育委員会 社会教育課
https://www.nobunaga-kyokan.jp/siryou/gifujyoato.pdf
岐阜城跡の調査|ぎふ歴史遺産活用推進協議会
https://www.city.gifu.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/005/558/hozonkatuyou345.pdf
【メタバース岐阜城を楽しもう!】あなたの街から岐阜市【岐阜市】|岐阜市公式YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=31qYEl7Ocu0
岐阜公園内 信長と天下布武|観光庁
https://www.mlit.go.jp/tagengo-db/H30-00698.html
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