こんにちは! 最近豆腐を手の上で切れるようになったライター、橋本です!
自炊生活3年目にして、ようやく包丁の扱いに慣れてきました。

さて、料理に欠かせないアイテムの一つである包丁ですが、その名産地と言えばどこを思い浮かべますか?
刀都として知られる岐阜県関市を想像する人も多いのではないでしょうか。

日本刀を始めとした様々な日本の歴史や文化に影響を与えてきた関市ですが、その名声は日本だけには留まりません

今回の記事では、刃物の聖地である関市の歴史や生み出してきた文化を解き明かすとともに、世界から高い評価を得ている理由をご紹介します!

はじまりは鎌倉時代? 関で刀鍛冶が発展したワケとは


はじめに、関の刀鍛冶の歴史を深掘りします!

現在から遡ること約800年。鎌倉時代の初期に、その歴史は始まりました。
鎌倉幕府が生まれたことで御恩と奉公の制度が確立し、兵力がネットワークとして組織化されました。

全国的な軍事力の増強に合わせて武器の需要が高まります

そんな中、現在岐阜県関市の周辺に位置する美濃国に初代 元重という刀匠が移住したことで刀鍛冶の歴史が始まりました。

元重の存在については諸説ありますが、その後の南北朝時代に登場した志津三郎兼氏と金重という2人の刀匠によって美濃伝という派閥が作られることになります。

では、なぜ彼らは関を刀鍛冶の場所として選んだのでしょうか?
その理由は主に2つあるとされています。

1.質の高い資源が手に入る風土


良い刀を作るには、良い材料が求められます。

関は刀身に焼入れを行う際に刀に塗る「焼刃土」の質が高く、燃焼温度を調整するための燃料「松炭」が入手しやすかったことが一つの要因です。

2.流通の要だった立地


当時の関は、日本の東西の架け橋であった中山道などの交通の要所に近く、物品の流通の中継地点でもありました。

その流通に合わせて美濃伝の日本刀の魅力が全国に発信されました。

これらの理由から、関は刀鍛冶の聖地として発展を遂げ、現在まで刃物の生産が行われています。

職人の技が地域の文化に


日本刀から始まった関の刃物の歴史ですが、現在はどのようなものが製造されているのでしょうか?

実は日本刀を打つ刀匠が複数存在していて、年に数本ではあるものの刀の製造は続いています。

しかし現在メインとして扱っているのは包丁やナイフ・爪切りやハサミなどの日常生活で使われるような刃物です。

そう聞くと以前のような歴史ある魅力が薄れているように聞こえるかもしれませんが、そんなことはありません。

品質の高い刃物の製造には複数の工程が存在します。
関は地域全体で過程ごとに分業する体制をとっていて、現在でもそれが続いているのです。

地域の文化の一部として関の住民たちと深いつながりを持っていることも関の刃物をより一層質の高いものにしている要因だと言えます。

刃物3Sの一つ! 関の刃物が世界で認められる理由


ここまでは関の歴史や文化について紹介してきましたが、これからは関の刃物の魅力をお伝えします!

機械技術の発展により、刃物の大量生産は以前より容易になっています。
しかし、質の高い製品を量産することは決して簡単ではなく、それができる地域は限られています。
そんな数少ない地域の一つが岐阜県関市であり、ドイツの「ゾーリンゲン」やイギリスの「シェフィールド」と合わせて「刃物3S」と呼ばれているのです!

今や関の刃物は「SEKI, JAPAN」や「MADE IN SEKI」という呼び名で知られる地域ブランドとなっています。

明治以降海外への輸出が増加し、世界各国で評価されるようになりました。
世界各国の名料理店で使われることもあるほど多くのプロフェッショナルから愛されています。

現在では国内の刃物輸出額のほぼ50%を占めるほどのブランド力を持っているのです!

そんな関の刃物の魅力は、ずばり耐久性と切れ味を両立していることです!
多くの場合、耐久性を求めるのであれば切れ味は悪くなってしまいますし、逆もまたしかりと言えます。
しかし関の刃物は質の高い資源長い歴史の中で培ってきた伝統的な手法機械技術の発展を積極的に受け入れる姿勢によって、その両立を実現しています。

優れた日本刀の条件とされる「折れず曲がらずよく切れる」という理念にぴったりと当てはまる関の刃物は、日本人の精神を反映した至極の製品と言えます!

おわりに


いかがでしたか?

今や世界中でブランド力を持つ関の刃物
その名声は、職人の技術や長い歴史、地域との深い結びつきといった伝統があるからこそ成り立っているものです。

また、関の刃物産業は現在も進化を続けています。

昔ながらの製法を大切にしながらも、高性能な機械の技術を導入することで、より良い刃物の製造とさらなる普及を目指しています。

包丁だけではなく、医療器具や工業機械にも力を入れていることからさらなる発展が期待できるでしょう!

関には刃物文化を体験できる施設があります!
ぜひ一度足を運びその伝統と切れ味を堪能していただきたいです!

施設名: 関鍛冶伝承館


公式ホームページ: https://www.sekikaji-mus.com/
住所: 岐阜県関市南春日町9-1
アクセス: 長良川鉄道・せきてらす前駅から徒歩約5分
営業時間: 09:00~16:30
休館日:毎週火曜日・祝日の翌日・年末年始
入場料: 一般300円 高校生200円 小中学生100円
*団体割引や休館日などの詳しい情報は、公式ホームページからご確認ください

参考


刀剣ワールド「美濃伝の刀剣/岐阜県関市の刃物」
https://www.touken-world.jp/minoden-sekicity/
刀剣ワールド「五箇伝『美濃伝』」
https://www.touken-world.jp/tips/57809/
刀剣ワールド「美濃伝の特徴」
https://www.touken-collection-nagoya.jp/mino-nihonto/minoden-features/
ひだ・みの 特産品のルーツを追う「関の美濃刀」
https://www.gpc-gifu.or.jp/chousa/infomag/gifu/93/tokusan.html
美しき日本 全国観光資源台帳「関の刃物」
https://tabi.jtb.or.jp/res/210045-
SUNCRAFT KITCHEN「包丁が出来るまで|鎌倉時代から受け継がれる関の包丁づくり」
https://www.suncraft.co.jp/shop/feature/how-to-make-a-knife/?srsltid=AfmBOop82w3zdyw43jWoOlGK1T_ULBSglwB4y9R6bf-x43-TK3mZVT6n
岐阜県関刃物産業連合会・岐阜関刃物館 公式ホームページ
http://seki-japan.com/tradition/
関鍛冶伝承館 公式ホームページ
https://www.sekikaji-mus.com/

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