情報格差・地域格差、あらゆる可能性を諦めさせない 1人の経営者の物語 ―株式会社IOBI代表取締役 石井智大―
和田 悠

2021年7月に地方創生メディア「Made In Local」を立ち上げて早2年、メディア事業部立ち上げから3年目となる今期に、株式会社IOBIとしての新たな地方創生への挑戦が始まります。

 

その前に、なぜ株式会社IOBIを創業し、地方創生メディアを立ち上げるまでに至ったのか、歴史を振り返りながら今後の展望をご紹介したいと思います。


学生時代に目の当たりにした地方企業の課題


―石井社長が起業した理由は何ですか?

石井社長:きっかけは、大学生時代ですね。


大学1年生のとき、行きたい企業に入る方法をキャリアセンターに相談した際に

返ってきた言葉は、

「この大学からはエントリーシートすら通らないから、やめたほうがいい」という

とても悲しい現実でした。私は、憧れの父親と同じ大学へ第一志望で入学し、入学2日目にそのようなことを言われたので、当時はとてもショックを受けました。


しかし、それでも諦めきれなかった私は、「皆と同じことをするのではなく、他の経験を沢山積んで挑戦してみよう!」と考え、アナウンススクールで話し方について学ぶことや、既に野球サークルが20以上ある中でサークルを1から立ち上げる、その過程でビジネスを学ぼうと思い、起業にもチャレンジしました。

そして実際、志望していた企業にエントリーシートを出してみると通過できました!その時、「自分の固定観念だけで学生の未来を潰している大人が多すぎる」と率直に感じたことを今でも覚えています。


たとえ結果がだめだったとしても、挑戦することに意味があります。

このような境遇を持つ自分であれば大人の固定観念を一切無視した支援ができると考え、内定を辞退し人材事業を開始しました。


―“地方創生”を意識されたきっかけをお聞きしたいです。

石井社長: そもそも起業を考えた時に、絶対に自分のお金は使いたくないって思ったんですよ(笑)


だから、後継者不足で黒字なのに会社を廃業しないといけないという問題を抱えた企業に、「俺を後継者にしてください!」ってひたすら営業していました。自分を売り込む営業は本当に難しく、大半は門前払いでしたが、その中でも話を聞いてくれる方がいらっしゃって、地域や社員に対する想いが強い会社が多く存在することを知りました。


世界に誇れる技術を持っているのに会社を廃業しなくてはいけないのは本当にもったいないと、自分の実体験で感じたので

「いつかこういう方々を救える事業がしたい」

そう思っていました。その後、年商500億円企業のオーナーが出資をしてくださり、その子会社として株式会社IOBIを創業しました。創業から半年後に株式を全て買い戻し、100%株主として独立を果たしました。


その後、人材事業の他に広告やコンサルティング領域など、幅広く企業のお手伝いをさせていただく機会が増えたことで、地方創生領域に挑戦してみようと考えたのです。


地方創生領域は一口に言っても様々なビジネスがありますが、得意とする広告・ブランディングを地方企業の方々に提供したいと考え、地方創生メディアを自社で立ち上げ、日本全国の地域の方々が可能性を広げられるようなコンテンツを現在に至るまで作っています。


地方企業の“意識から変える”「Made In Local」

―現在どのような事業を展開しておりますか?

石井社長:地方創生メディア「Made In Local」を運営しており、企業のブランディングのお手伝いができればと考えています。


黒字倒産や後継者不足により、日本が誇る技術を持った会社が潰れてしまっている現状があり、それを食い止めるために堺・泉州エリアから事業を始めました!

その中でも「地域を代表する企業100選」というコンテンツに力を入れており、中小・ベンチャー・大企業問わず、地域の顔に相応しい企業を選ばせていただいています。


―なぜ地方創生事業で“WEBメディア”に注目したのですか?

石井社長:自分の会社の情報を発信しブランディングすることが大切だと思っています。しかし、情報発信の重要性に意識が向いていない企業が多いことも事実です。自ら発信しなければ、人が認知することもない。

そのような部分の認識が薄くなっていくことが地域企業の倒産数増加・人手不足問題に繋がっているのではないかと考えています。

「地域企業が情報を発信するツールがなければ、自分たちが作ればいい!」

SNS全盛期の時代だからこそ、WEBメディアという発信の基本を全国の企業に確実に浸透させていく。企業から地方創生を行っていくには、そういった一歩一歩のお手伝いが大切だと考えています。


―「Made In Local」を立ち上げ、大変なことはありますか?

石井社長:地域企業のブランディングに対する優先度が低いことでした。

ブランディングの重要性を伝えることに最初は苦戦しました。ブランディングとは都市部の企業がやるものだという意識が潜在的にあるのではないかと考えました。そこでまずは成功体験を積んでいただこうと考え、体験していただくことに重きを変えました。

幸い1エリア目の堺・泉州エリアでは浸透してきましたが、「Made In Local」としてまだ進出できていないエリアにおいては地域企業の意識を変えてブランディングのお手伝いをしたいと思っています。

その結果、本当の意味での地方創生が出来ると確信しております。



―反対に、メディア事業を通してやりがいを感じることはありますか?

石井社長:実際に企業から、“メディア掲載を通じて売上が向上した”・

“求人応募数が増えた”・“地域住民の方に知ってもらえる”とお喜びの声をいただくことです!


最近では、堺・泉州エリア100選ビジネス交流会を開催し、異業種同士でも和気あいあいとされていた様子から、メディア運営の意義を感じました。

メディアをきっかけに、ビジネスマッチングや人との出会いを生み、経済循環させることで少しずつですが地域に貢献できているかなと思います。


地域格差・情報格差を無くし、地域から日本をより良く

―今後、地域・地方をどのようにしていきたいですか?

石井社長:情報の流れを都市から地域ではなく、地域から都市に変えたいです。


そのために、47都道府県に「Made In Local」を広げ、企業のみならずあらゆる団体・人の繋がりを生み出したいと考えております。


その一環として、行政連携も進めており、堺市様とは保護猫の里親募集という連携企画をさせていただいております。実際に、こちらのプロジェクトでは引き取り手が見つかっており、微力ではありますが認知拡大などの面で一定の効果を発揮していると思います。


〇 ANIMAL SHELTER(保護猫の里親募集 with 堺市)のページ

https://madeinlocal.jp/area/sakai-senshu/animal-shelter


その他にも、弊社では「Made In Local」発の企画として神戸のサンテレビ様と協力し、SDGsの取り組みに力を入れている企業の30分密着番組「SDGsの羅針盤」の制作・企画や、全国の名店と言われるラーメン店のレシピと材料提供を受け、全国どこでも名店の味が楽しめる「ラーメンステーション」という企画も立ち上げました。

私たちは、ただメディアとして地域や企業の良いところを発信するだけにとどまらず、自社の事業を「Made In Local」のコンテンツとして、育てていくことで結果的に地方創生へ大きく前進するのではないかと考えています。



〇SDGsの羅針盤公式サイト

https://www.sdgs-compass-tv.jp/


〇ラーメンステーション公式サイト

https://www.ramen-station.jp/



そして、「Made In Local」のエリア拡大は、弊社だけではなく様々な企業との協力が必要です。地域に対して熱い想いを抱いた方に、その地域のサイト運営をお任せしたいと思っており、フランチャイズ募集を開始し、募集開始からわずか半年で10地域にまでエリアを拡大させました!

また、これからも直接運営をお任せしたいという方を見つけて、弊社からお声がけしていきたいですね。


―地方創生を一言で表すと?

石井社長:情報格差・格差を無くしていく!

日本全体で見ても、地方と都市でまだまだ情報格差が大きいです。同じ日本とは思えないくらいの差があるのではないでしょうか。


そのため、地域から情報が発信できる媒体を立ち上げ、少しでも情報の不平等さが無くなればと願っています。素晴らしい技術を持った企業や想いを持った店舗、活躍されている人にフォーカスをあてていきたいです。


―どうやって地域の情報発信の流れを変えていきますか?

石井社長:まずは地域の企業から意識を変えていかなければなりません。

地方創生に興味を持つ人へ地域企業の情報を届けるため、発信し注目を集める必要があります。


そうして、サイトを閲覧した方に、企業だけでなく飲食店など地域のお店にも興味を持ってもらうことで地域の経済がより良くなっていくと考えています。

企業名

株式会社IOBI

所在地

〒532-0005 大阪府大阪市淀川区三国本町一丁目6-23 IOBI新大阪ビルディング

創業年

2019年4月10日

代表者

石井智大

事業内容

・地方創生メディア「Made In Local」の運営

・サンテレビ放送自社制作番組「SDGsの羅針盤」の企画

・全国のラーメン店が2か月に1度入れ替わる「ラーメンステーション」の運営

(メディア事業/ブランディング事業/デベロッパー事業)

WEBサイト

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