「さんぽまち」テーマソングの作詞で地方創生!? ふるさとの北広島市を盛り上げたい ー北広島市役所 企画課 熊谷遼三ー
柳原 佑芽

こんにちは!学生ライターの「ゆめ」です!

今回は北広島市役所の熊谷 遼三(くまがい りょうぞう)様にお話をお伺いしました。

北広島市といえば、2023年3月に開業した北海道日本ハムファイターズの本拠地である「エスコンフィールドHOKKAIDO」を中心とした「北海道ボールパークFビレッジ」が注目を集めています。そんな北広島市で地方創生に取り組んでおられる熊谷様は、北海道真狩(まっかり)村で開催されている「全日本スリッパ卓球選手権」で優勝経験があり、市役所職員を目指されたいちばんのきっかけも「卓球」だったとか。さらに全くの未経験ながら「さんぽまちの唄」の作詞に取り組まれたエピソードも必見です!

ぜひ、最後までご覧ください。

熊谷様のこれまでと現在のご活動


――熊谷様の生い立ちや、北広島市役所の職員を志された経緯を教えてください。
私は北海道北広島市の山手町という場所で生まれ育ちました。父は札幌市役所に勤めておりました。幼い頃から卓球に打ち込み、高校卒業後は夜間部の大学へ進学しました。その際に北広島市役所の卓球部に所属されている方と交流を持ち「一緒に働かないか」と声をかけていただいたことがきっかけで、大学2年時から学問に勤しみながら昼間に市役所での勤務を開始いたしました。私の大好きなふるさとである北広島市へ恩返しをしたいという気持ちを大切に、日々業務に励んでおります。

――現在はどのような業務に取り組まれているのでしょうか。
ふるさと納税」と「地方創生」を軸としたまちづくりに特に重点を置いている事業です。現在北広島市では個人向けの「ふるさと納税」と企業向けの「企業版ふるさと納税」の2種類を受け付けております。個人を対象とする「ふるさと納税」とは、応援したい自治体に寄附をすることで、所得税や住民税が控除され、その地域ならではの返礼品も受け取れるシステムです。例えば、2023年11月から「ファイターズふるさと納税」を開始し、試合観戦チケットや球団グッズを返礼品としてご用意しております。一方、企業版ふるさと納税も自治体への寄附を行うことにより、法人税の控除を受けられる仕組みです。企業様からいただいた寄附金は地方創生の事業に充てさせていただくほか、「地域活性化」に関する事業を実施される事業者に対する補助金制度を創設いたしました。取り組みにご賛同いただいた大手企業様からもご支援をいただくなど広がりを見せており、大変喜ばしい限りです。市役所の力のみで地域の課題を解決することは非常に難しいため、民間事業者のみなさまのご協力を賜りながら住み良いまちづくりを推進してまいります。

北広島市ってどんなまち?

――北広島市の魅力を教えてください。
北広島市を一言で表すならば「ちょうどいい田舎」です。広大な自然が広がっており、中山久蔵という方が日本で初めて寒地稲作に成功した場所でもあります。また、北広島市は大都会である札幌と国内外の窓口である新千歳空港の中間に位置しており、どちらへも電車を利用して約20分ほどで行くことができるアクセスの良さも魅力です。さらに「エスコンフィールドHOKKAIDO」を中心とした複合型施設である「北海道ボールパークFビレッジ」には開業初年度にも関わらず300万人以上のお客様にお越しいただきました。



――北広島市が「エスコンフィールドHOKKAIDO」の誘致に至った経緯はどのようなものでしたか。
現在の「北海道ボールパークFビレッジ」の敷地には、昭和時代から総合運動公園を造るという構想が描かれていました。しかしながらさまざまな課題があり、手付かずの状態が長く続いていたのです。どうにか北広島市として動かなければと検討した結果、北海道日本ハムファイターズの2軍(ファーム)施設の誘致を目指しました。すると、球団としてそもそも1軍本拠地の移転を考えていたということが判明し、候補地として北広島市が名乗りを上げる運びとなりました。ファイターズ様は単純に球場を造るのみならず、球場をきっかけとした「スポーツコミュニティ」の構築を理念に掲げていらっしゃるため、北広島市と一緒にまちづくりをしていきたいという方向性が一致しました。その結果誘致に至り、2023年3月から試合を開催しております。


――球場誘致がきっかけで広がった、北広島市の新たな可能性について教えてください。
「エスコンフィールドHOKKAIDO」を中心とした「北海道ボールパークFビレッジ」の開業に伴ってたくさんの民間事業者様が北広島市に注目してくださり、北広島市を舞台に新しい取り組みができないかと多くのご提案をいただいていることが1番に挙げられます。また、北広島市は球場誘致による効果をまちづくりのさまざまな分野に波及させていく「ボールパーク構想」を掲げております。近年では、小・中学校にファイターズOBの方をお招きして「投げ方教室」を実施いただきました。また、Fビレッジ内には認定こども園や農業体験施設があるほか、医療メディカルモールも開設予定であり、地域のみなさまにとっても有益な施設です。多くの雇用が生まれたことに加え、北海道医療大学のキャンパスが施設内に移転することも決まっているため市内の居住者の増加が期待されています。持続可能な北広島市の実現へ向けて、「北海道ボールパークFビレッジ」はこれからも重要な役割を担っていくことでしょう。

北広島市や「さんぽまち」に関する取り組み


――北広島市民の方向けの取り組みにはどのようなものがありますか。
私はかつて公共交通部門を担当しており、路線バスの再編業務に携わりました。どの停留所での乗り降りが多いかを時間ごとに分析し、ダイヤを再編したことによって、市民の方にとってより便利な路線に生まれ変わりました。また、北広島市として「きたひろ健康ポイント」という事業をしております。19歳以上の方はボランティア活動に参加するとポイントが獲得でき、65歳以上の方は健診を受けたり、健康づくりに関連するイベントへの参加や施設の利用でもポイントがもらえる仕組みです。こちらのポイントは地場産品または奨励金と交換していただくことができます。


――北広島市の課題について教えてください。
ここ数年は転入者が転出者を上回る傾向にありますが、生まれてくる方よりもお亡くなりになる方の数が多いために人口は減少しております。さらに北広島市は5地区に分かれており、そのうちの「北広島団地地区」は最も高齢化率が高い地域です。少子高齢化は深刻な問題ですが、必ずしも悪いことではありません。元気な高齢者の方が増えることは社会への活力となるからです。現在は地域へ子育て世代の方を呼び込むことで、広い世代にわたるより活発なまちづくりを目指しております。


――北広島団地地区に「さんぽまち」という愛称をつけたことや、「さんぽまちの唄」を作成した経緯を教えてください。
北広島団地地区をより活発なまちにするために職員で話し合い、「北広島団地地区」という本来の名称に加えて、親しみやすい愛称をつけようと考えました。私がその業務を担当することとなり、決定したのが「さんぽ道」と「まち」をかけた「さんぽまち」という愛称です。それに加えて​​「家族とさんぽまちを、そして、人生を一緒に歩いていきたい」という想いをこめた「さんぽまちの唄」も発表しました。予算の関係上、全くの未経験ではありましたが私が作詞をし、作曲と歌は北広島市の消防士が担当しました。さらに市内の大学生のみなさんが​​「さんぽまちの唄」に乗せて、タオルを使いながら筋トレと有酸素運動をすることができる健康体操を考案してくださったのです。このような活動が、若者から高齢者の方まで、全てのみなさまが元気になるきっかけになればと考えております。

地方創生に対する思いと今後の展望


――熊谷様の地方創生に対する思いをお聞かせください。
たくさんの方に移住してきていただくことももちろん重要ですが、地域に既にお住まいの方にも「このまちっていいね」と思っていただくことが大切です。長く生活していたとしても意外と知らなかった「地域の魅力」があるかもしれません。だからこそ、まちの愛称の考案や「さんぽまちの唄」の例のように、改めて自分が住んでいる地区を知っていただく取り組みを大切にしております。実際に路線バスの名称に「さんぽまち」を入れていただいたり、駅に到着するバス車内のアナウンスで「さんぽまちの唄」のオルゴール音が流れるほか、回覧板にも「さんぽまち」のロゴを入れていただいたりと新たな愛称を地域の方々が活用してくださっていることがとてもありがたいです。


――今後の展望や目標を教えてください。
北広島市の人口は現在5万7000人を切っているのですが、6万人に増加させるという目標を立てております。少子高齢化の進む日本社会において人口を増やす目標を掲げているのは全国的にも珍しいかもしれません。達成するために行政機関とも協力し、土地を有効活用する方法を模索していく必要があります。さらに私自身としては民間事業者様との連携が最も重要であると考えており、参入しやすい仕組みづくりに取り組んでおります。協力してくださる民間事業者様が増えることで雇用機会の増加や企業の移転による人口が増加し、公共交通や商業施設等さまざまなインフラが持続可能になります。理想的な循環型社会を目指し、これからも精進してまいります。

――地方創生を志す若者へメッセージをお願いいたします。
私が仕事をするうえで常に意識していることは「なにか形のあるものを残したい」という思いです。「さんぽまちの唄」や「企業版ふるさと納税」を活用した地域活性化事業、バス路線の再編も私のなかでは実績だと思っています。どれも簡単な業務ではありませんでしたが、さまざまな方のご協力によって形を残せたと思っています。地方創生を志される方にはぜひ熱意を持って「目に見えるもの」をつくることに取り組んでいただきたいです。

施設名

北広島市役所

所在地

〒061-1192 北海道北広島市中央4丁目2番地1

北広島市役所HP

​​​​​​​​https://www.city.kitahiroshima.hokkaido.jp/

JR新駅建設プロジェクト

現在、北広島市では「北海道ボールパークFビレッジ」に隣接するJR新駅建設プロジェクトを行っております。ぜひご協力をお願いいたします。
https://www.city.kitahiroshima.hokkaido.jp/hotnews/detail/00152030.html 

「さんぽまちの唄」と「健康体操」

​​https://www.city.kitahiroshima.hokkaido.jp/sumitakunaru/detail/00130105.html 

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「企業版ふるさと納税」を活用した株式会社Ambi×北広島市の取り組みに関する記事です。
https://madeinlocal.jp/area/hokkaido/companies/news/001 

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