マイナースポーツでパリ五輪を目指すセーリング選手が、活動の傍らで意識してきたSDGsとは

2024年のパリ五輪で新種目として登録された「フォーミュラカイトクラス」は、セーリング競技の一種で海上を猛スピードで走る「セーリングのF1」とも呼ばれる競技です。まだ、歴史の浅いスポーツで馴染みが薄いため、認知度が低いだけではなく、競技には高額な道具も必要且つ消耗品であるため、続けること自体が難しい競技の1つとも言えます。


そのような環境の中、沖縄県宮古島市を拠点に、活動継続と五輪出場を目指すため、自らスポンサー営業を行い、スポンサー7社を獲得しただけでなく、フリーランス広報の多田くるみ氏のPR支援により、メディア取材を獲得しました。五輪出場を目指す若者が活動を続ける傍ら、競技を続ける条件の一つとしてSDGsの重要性にも注目しました。



岩城さんがされている「フォーミュラカイト」とはどのような競技なのですか?


皆さんがイメージする海を走るスポーツといえばサーフィンだと思いますが、私の競技はカイトボードのフォーミュラカイトクラスという種目です。カイトとは凧のことであり、風の力を使って猛スピードで海上を疾走するこの競技には他には味わえない爽快感があります。


ヨットやサーフィンは昔から競技として存在し、知名度も高いですがフォーミュラカイトという競技は歴史が浅いため馴染みがないかもしれません。しかし、五輪の新種目にも選ばれるなど、これから確実に注目を集める競技の1つと言えると思います。




岩城さんは今までどのような経歴でスポーツ携わって来られたのですか?


私は、鹿児島県出身で7歳の頃から親の影響でセーリング競技を始めました。最初はヨット、中学生ではウインドサーフィンと様々な競技に触れてきました。中学時代には、縁あって進学することになる福岡第一高校の合宿で当時インターハイ優勝を果たした選手と一緒に練習をさせてもらうこともありました。自分もこの環境で頑張れば結果を残せると感じられたこと、そして勝つことの楽しさを教えてもらったので、親元を離れて福岡で練習の日々を送りました。


日本トップレベルの強豪校で練習を重ねた甲斐もあり、ヨット全国高校総体に4位・団体2位と満足のいく結果を得ることができました。大学は鹿屋体育大学で日本代表クラスの選手とトレーニングや、世界選手権にも出場し、競技経験を重ねていました。しかし、高校時代と違って大学時代では結果は振るわず、自信を失い、大学卒業後は競技から離れてしまいました。



その中で、どのような動機があって五輪出場を目指そうと思ったのですか?


大学卒業後は、趣味で以前から興味のあったカイトサーフィンを行っていましたが、五輪を目指そうと人生が変わったのは、2021年に開催された東京五輪でした。当時、日本のトップクラスで鎬(しのぎ)を削っていた同世代の選手が、五輪出場を果たした姿を見て、競技から離れたことをとても後悔しました。


しかし、その後偶然カイトサーフィンのインストラクターのお仕事を宮古島でいただくことになり、もう1度スポーツに携わることになった矢先に、2024年開催のパリ五輪でフォーミュラカイトが新種目に選ばれることを知り、このチャンスに賭けるしかないと考えました。





挑戦する上で大変なこと


努力をしたけど結果が伴わないなど選手としての苦悩もありますが、最も困っているのは、やはり競技を続けていくための資金集めです。どれだけ成績が良くても、フォーミュラカイトという競技はお金がかかるため、やむを得ず引退してしまう選手も少なくありません。


実際、私より成績が良かった選手も引退されています。しかし、私は私を応援してくれている人・夢を託してくれた人に対して、中途半端では終わることができないと思っているため、自ら「僕を支援してください!」とX(旧Twitter)で呼びかけてきました。


そういった活動を経て、夢追人を支援するYoutubeの「令和の虎CHANNEL」出演や、Xでのスポンサー募集活動を経て、合計7社のスポンサーを得ることに成功しました。


(氏は既に自力で2社のスポンサーを得ていたが、1回目の「令和の虎」では希望金額1,000万円のところが550万円でフィニッシュだったため獲得できなかった。しかし、2回目の出演「スポーツ版Tiger Funding」にて3社合計233万円のスポンサー契約と1社のサプライヤー契約を獲得し、さらに広報を強化したXのスペースでスポンサーの申し出を受け、合計7社のスポンサーを得ることに成功している。)



実力や精神面だけでなく、資金面においても困難を乗り越えて、世界と戦い続けることは大変です。しかし、大学時代に結果が振るわなかった自分を思い出し、勝負に勝つには単純に技術だけではなく「勝ち切る姿勢」が大切だったと考えるようになりました。日々の練習もそうですが、全てにおいて最善を尽くし、最後までやりきる覚悟を示した結果、これだけ応援して下さる方と仲間になれたので、皆さんの期待を背負って世界と戦いたいと思います。



活動を継続するためにSDGsも意識


活動を続けるためには、その環境を自らも守ることも大事だと思っています。小さなことではありますが、ゴミ拾いや自分の大好きな海を綺麗にしようと発信することを心がけています。SDGsでも「海の豊かさを守ろう」という目標が掲げられていますが、競技を続けていくためには海や海岸が綺麗であることは重要ですし、海を普段使わせてもらっている立場だからこそ、私が海を綺麗にしましょうと伝えることは説得力があると思います。


宮古島に限らずですが、日本は海が綺麗な海洋国家だからこそ、海のスポーツがもっと発展して欲しいですし、競技人口が増えてもずっと綺麗で競技を行っていける環境にしたいと思います。



今後の展望


まずは目の前のパリ五輪出場を果たし、優勝すること。今まで支援してくださったスポンサー様・サプライヤー様に対して、「岩城拓海を応援して良かった!」と思ってもらえるように全力を尽くしたいです。




さいごに


世界最高峰の選手と戦っていくにも関わらず、マイナースポーツは認知度の低さから支援が受けにくいため、必要な道具を自分で購入することや、海外で開催されている大会に出場する渡航費等も自らの力で用意する必要があり、継続には競技の実力以外の部分でも戦っていく必要があります。


そのような選手が活動しやすい環境づくりを国や自治体が地方にも整備し、地方から世界に羽ばたく選手を輩出していくことで地方創生や地域の環境を守るSDGsの推進にも繋がると思いました。

名前

岩城拓海

活動拠点

沖縄県宮古島市

公式ページ

https://iwakitakumi.com/

スポンサー企業

株式会社貴瞬 / 株式会社アースコンサルティング /株式会社FCチャンネル/株式会社J-PRoach / 株式会社アユザック/ TOPWORKS株式会社/ 株式会社js

(2024年1月26日時点 ※順不同)

お問い合わせ窓口

広報担当:多田くるみ
(mirakuru3096mirakuru@gmail.com)

記事一覧に戻る
MadeInLocalのロゴ

    お問い合わせ

    掲載依頼・取材依頼・Made In Localシリーズおよび地域を代表する企業100選についてのお問い合わせ等、承っております。まずはお気軽にご相談ください。

    お問い合わせはこちら

    会社概要

    Made In Localは、株式会社IOBIが運営する地方創生メディアです。弊社では現在、事業拡大につき、新卒・中途ともに積極的に採用活動を行っております。 ご興味のある方はぜひご一読ください。

    会社概要はこちら
    SDGsのロゴ
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 人や国の不平等をなくそう
  • 住み続けられるまちづくりを

Made In Localは地方創生メディアの運営を通して地域の産業振興や地域間格差の是正に取り組んでおり、「産業と技術革新の基盤をつくろう」・「人や国の不平等をなくそう」・「住み続けられるまちづくりを」の3つのSDGsのターゲットの実現を目指しています。

©︎ 2024 株式会社IOBI all right reserved